起業のきっかけは、ピアノを習う娘でした。ピアノのレッスンに付き添う中で、靴が滑ることでピアノのペダルが踏みづらくなることに気が付いたのです。最初は、問題を解決できそうな靴を探しましたがそのような靴がどこにも売っておらず、娘の靴を工夫して履かせていました。そのことを以前働いていたゲーム業界の飲み会で話すと、「世の中にピアノ演奏用の靴が存在してなくて、作った靴が実際にピアノのペダルを踏みやすいものであれば、特許が取れるのでは?」と言われたのです。2014年3月に特許第5470498号を取得し、商品化するために同年4月に起業、2015年6月に全国の大型楽器店にて販売開始。そして、2017年11月15日に株式会社を設立しました。
〝ピアノの演奏が思い通りになる魔法の靴を娘に履かせたい〟そんな想いから起業することになったので、経営についてはもちろんのことですが、商品化・販売についても分からないことだらけでした。それから血のにじむような努力を重ね、補助金などの国の支援をたくさん活用して、2016年の売上を前年比で2・4倍に伸ばすことに成功。そのことが評価され、創業者成功事例として2017年版『小規模企業白書』(中小企業庁)にも掲載されました。
弊社のピアノシューズは、女の子用と女性用のみの販売なので、2018年は男の子用のピアノシューズを企画・販売することが目標です。そして、販売体制を本格的に整え、今後の海外展開を視野に入れて、商品ラインナップを充実させたいです。社会貢献としては、コンサートの支援や演奏家の支援などもしたいと思っています。
死ぬこと以外はかすり傷
事業が今に至るまでに、いろいろなハードルを越えてきたという自負があります。この言葉を胸に行動してきたから、何があっても耐えることができました。これからも疲れる前にたっぷり休み、毎日何があっても絶対に止まらず、数ミリずつでも前進していこうと思います。