以前は天然酵母のパン屋さんをやっていて、出産を機に一度辞めたのですが、子育ても落ち着いてもう一度お店をやりたいと思ったんです。
パン屋さんは、朝が早くて重労働なので、次に考えたのが焼き菓子です。製菓学校にも通ったこともなく、繊細なデコレーションもできないので、焼き菓子ならできるかなと考えました。
焼き菓子といっても、乳製品をたっぷり使ったようなものはどこにでもあるので、独自性を出すために、卵と乳製品を使わないと決めたんです。子育てをする中でアレルギーを持つお子さんが多いということも聞いていましたので、そういうお子さんたちも食べられるお菓子、たくさんの人たちが食べられるお菓子を作りたいと思って今のスタイルになりました。
私は女ですので、女性の立場から率直にお話しさせていただきます。
天然酵母のパン屋さんは自宅を店舗にしていたので、辞めるときに店舗だった部分を改修して自宅に戻したんです。そのとき業者の方に言われたのが「女性は将来を見据えていなくて、計画性がない」ということでした。大変ショックでしたが、その時の私は首を垂れるほかありませんでした。
男女平等、女性の社会参加は当たり前と言われる時代ですが、女性が家庭の事情で路線の変更を迫られる機会が多いんですよ。それが現実です。あのときの業者の方が言ったように、店の将来を具体的に思い描くことがとても大事です。
そして、女性特有の問題で選択を迫られる可能性があるということも頭に置いておくと良いと思います。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
商売をする人は、職人かそうでないかに大別されるような気がするんですよ。どちらにせよ、「自分のスタイルを見極めること」が大事だと思います。
あとは自分を信じる。起業をするときは勢いがあるので、起業はそれほど難しいことではないと思っています。問題はその後です。長く続けることは難しいとつくづく感じています。ともに頑張りましょう。