もともと私は食いしん坊で、美味しい料理を自分で作れたら幸せだろうなと思って始めたんです。
作るのが好きでこの世界に入ったのではないんですよ。始めた頃はフランス料理がポピュラーじゃなくて、珍しい料理を作って食べられるようになったらと思いましてね。
「目の前のお客様に喜んでもらいたい」という思いがあります。オープンキッチンにしているのは、お客様の反応やテーブルを見ながら、次の料理を準備し、お客様に出来立ての料理を食べていただきたいからなんです。この形はずっと続けていきたいなと思っています。
それと「異空間」を売ろうと考えています。開店当初から「浮いている」「取手っぽくない」と言われていましたけれど、流行りじゃない独特の雰囲気、ここで過ごす時間も売ろうという意識が最初からありましたので、それはとてもこだわっているところです。
普段は家庭で食事をしていて、今日は特別な日だから外食したいという方に来ていただいて、日常と違う料理と空間を提供したいですね。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
やり始めたきっかけとなるものは忘れてはダメですよ。私たちもお金儲けだけを考えていたら続かなかったでしょうね。気持ちが大事ですよ。
また、やりたいことを実現するためには、独立するしかないと思います。私は以前、100何席もあるお店の料理長を務めたことがありますが、私はほとんど作らなかったんです。最後にあいさつに回るだけでしたから。ストレスもありました。雇われている人間の宿命ですよね。やりたいことを実現するためには、独立するしかないですよ。
それとパートナーの存在が大きいですね。一人ではできないことが多いので、信頼できる人が見つかればね。私の場合は、たまたまかみさんでしたが。パートナーがいて、同じ方向を向いていれば、ぜひやってみるべきです。