商売をするなら、「取手」という思いがずっとありました。生まれ育った取手は元気であってほしいという願望が常にあって、それが原動力になっていますね。
幼少のころの賑わっていた白山商店街の風景がずっと自分の中にあるんですよ。昔は人と人との交わり合いの中で、食文化、子供たちへの食育を大事にしていたなと。今はそれらがなくなっているから求めちゃいますね。自分が地元でお店をやる理由はそこですよ。
最初は東京のお店でフランス料理のコックをやっていたんですよ。デザート部門を担当していましたが、最初は嫌々でしたね。
そんな中、景気が悪くなって、仕事の量も減ってしまったときに、得意分野を作らないと、独立して生き抜けないと思いましてね。コックでもお菓子づくりが苦手な人が多いので、「お菓子づくりを基礎から学んで、得意にしてやろう」と考えたんです。中途半端にコックをしながらでは学べないと思ったので、料理の世界を離れて、お菓子の世界に飛び込みました。当時は、お菓子づくりを3年学んだらコックの世界に戻るつもりでした。
つくばの洋菓子店で修行をしているうちに、「単純な材料でも、作り方を変えるだけでこんなに違うものができるんだ」と、お菓子づくりの面白さに気づいて、はまっていったんです。
今は自分の中で半分コック、半分パティシエみたいな感覚ですよ。一言で言うなら自分は「加工屋」なんですよ。自分のスキルは加工をすること。
今やりたいのは、地元の農家さん、地元の流通業者さんたちと連携して、地元だけで1つの商品を作ることです。自分たちの地元にはこんなものがあるんだと打ち出していきたいですね。自慢できる取手にしたいですよ。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
やっぱり「思い」ですよ。起業家には目的、自分の表現したいものが必ずあるはずなので、自分が何をしたいのかを見つめてもらいたいですね。
自分の場合は「地元愛」ですね。生まれ育った町に還元したい、生まれ育った町を再現したい、みんなが理想としている環境に戻りたい。そのために加工屋として、何かできるんじゃないかなと考えているんです。
これから起業される方も、一つ一つの理由、思いを大事にしてほしいですね。