私の家は代々農業を営んでおり、農業をとても身近な仕事と感じていました。しかし、私が専業農家の道を選んだのは、実は7年前。それまでは取手市役所に勤務し、その傍らで農業を行う兼業農家でした。
しかし、18年前に父が他界し、家業を維持できるのが私と母だけになってしまったのです。畑は5000㎡、田んぼは50000㎡あり、母だけではとても無理です。いずれは専業農家へ転職したいと考えていたので、49歳で早期退職し、農業に専念することにしました。現在は、旬に実る露地野菜や安心安全を目指した特別栽培米を育てています。
不安はあまりありませんでした。農業が嫌いではなかったし、家業なのでいずれは自分が継がなくてはという気持ちがあったのです。それに、定年後に農業が何年続けられるのだろうかと考えました。人生は一度きりです。好きな農業をできるだけ長く続けたいという思いも、早期退職へ背中を押してくれました。今振り返ってみても、この決断は間違っていなかったと思います。
今と昔では農業のスタイルがかなり変化しています。ただ農作物を作れば売れるという時代ではなくなってきているので、今後は農作物加工品の製造販売もできるだけ早く事業に取り入れたいと考えています。また、高齢化に伴い農業を続けることが難しくなってしまった土地を、国などの制度を利用して、荒地化しないように支えていきたいですね。
「誠実一路」
丹精込めて作った野菜やお米を販売していて、買ってくれたお客様から「ありがとう」と言われると、とてもうれしくなります。「おいしかった」「ありがとう」の言葉が、またおいしい農作物を作ろうという励みになります。