最初からこの広さ(800坪以上)でレストランを始めたのですか?
若かったからできたのでしょうね。開業したのは26歳のとき、47年前です。私は我孫子出身なのですが、取手に親戚が多かったので、こちらに土地を求めました。その頃はロードサイドショップ、郊外型の店が出始めた時期でした。
これから日本は変わっていくだろうと考えたのです。若さに加え、世間でやっていることはまねしたくないという性格だったからできたのかもしれません。最初から細かいことを計算したり、周りの意見を聞いたりしていたら、できなかったと思いますよ。
不景気が自分たちを救ってくれたと思っています。景気が良いときはあまり考えなくてもうまくいきますが、悪いときは私も従業員もしっかり考えますから。コンサルタントと一緒に勉強しました。
例えば、今はトンカツがメニューの割合としては多いですが、開業当時は半分くらいでした。そこからABC分析(商品の売れ筋・死に筋を分析する管理手法)をして、人気のないメニューは入れ替えて、今のメニューに落ち着いたのです。3年に一度は販売実績を基に、メニューを見直しています。
今でも経営の勉強はしていますよ。ただ、効率や利益だけを追い求めていたら、お客さまの気持ちは離れてしまうだろうと考えています。混雑する時間帯に予約を受けると、待たないといけないお客さまが出てきます。客席を詰めて座ってもらうと、お客さまはお食事を楽しむことができません。期待を持って来られた目の前の個々のお客さまを大事にしたいです。
「100年企業」を目指しています。
身の丈に合った経営で、お客さまに喜んでいただける店を長くやっていきたいですね。チェーン店にすることなどは考えていなくて、今の店を精一杯良くしていくことしか考えていません。間口を狭く、あれこれ手を出さず、奥行きを深く、料理の研究を常にするようにしています。
「何のために商売をするのか、何が世の中のためになるのか」
を自分の心の中に持たないと長続きしないでしょう。