小さい時から親父の仕事を見ていたのですが、継ぐつもりはなかったです。継ぐことを意識したのは大学時代です。アルバイト先のアパレル店の社長に実家のことを聞かれた時、親父のこと、会社のことを少しさげすんだように答えてしまったのです。すると社長に怒られました。「お前は何を言っているんだ。サラリーマンも尊い仕事だけれど、それ以上にお前のお父様は頑張って、お前を養っているんだぞ」と。その時に、親父のすごさ、大変さに気付き、継ぐという意識が芽生えました。
その後、大学を卒業し、勉強するためにそのアパレル店に就職し、2年でここに戻ってきました。実は店長にならないかという話も頂いたのですが、この業界でのデビューが遅くなりますのでお断りしました。
親父が亡くなった時に継いだのですが、親父と十数年一緒にやってきたので、業務の面で困ることはありませんでした。ただ、代表としての心得は、なってみないと分からない部分があり、特にプレッシャーは格段に大きくなりましたね。取引先への目に見えない気遣いなど、親父はこんな大変な思いをしていたのだ、自分はなんてぬるいところにいたのだろうと感じました。
私たちの仕事は工務店からの依頼が多いのですが、一つ一つの現場が営業活動だと思っています。技術的なことはもちろんですが、笑顔を忘れずに、協力しやすい現場の雰囲気を作ることを大切にしています。「また一緒に仕事をしたい」と思ってもらうことが大事ですので。
「苦しいこともあるだろう。云い度いこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣き度いこともあるだろう。これらをじつとこらえてゆくのが男の修行である。」
山本五十六の「男の修行」です。どんなに辛いことがあろうとも、耐えて笑顔でいるように努めています。耐えれば必ず、次のチャンスが来ますから。