調理学校を卒業する時から将来は独立しようと思っていました。一生同じ店にいることは考えづらいですし、たとえ大きなホテルの料理人になれたとしても、残れるのは何人もいないですから。独立に向けて、必要な知識や技術をいろいろな店で学びました。そして31歳の時、つくば科学万博の年(1985年)にこの店を出しました。いろいろな知識や技術がないと、お客様の要望に応えられないので、今までの経験全てが役に立っています。
私が料理に専念できるのは妻のおかげですね。数字や経営のことは、全て妻がやってくれています。私一人ではここまで続けることはできなかったと思います。やりやすい環境を作ってくれている妻に感謝しています。
身の丈で経営することが大事だと痛感しました。長く続けるためには、景気などによる売り上げ変動の影響が少なくなるように、気持ちも計画も大きくなり過ぎないことですね。最初は、半分くらいのスペースでやっていて、当時はフランス料理が珍しかったこともあり、お客様が来てくれました。
10年後、手狭になったことに加え、古くなってきたので、改装、増築をしましたが、バブル崩壊の影響で、他の外食産業と同じように売り上げが落ちました。良いときもあれば悪いときもあるでしょう。良いときにコストをかけすぎると、悪くなったときに大きな影響を受けてしまいます。自分たちに見合った経営をして、限られた制約の中で、いかにお客様の要求、期待に応えていくかが大事ですね。
「お客様に愛情を持って接する」
お客様は期待を持って、ここに来られます。その期待以上のものをお客様に提供しなければなりません。そのためには、お客様に愛情を持って接することが一番大事だと考えています。創業当時から守っていることです。