2018年3月27日
~芸術家のイメージを変えるアーティスト~
【ゲスト社長】SOBASUTA 傍嶋 賢さん
今回ご登壇いただいたのは、SOBASUTA 傍嶋 賢さん。
東京藝術大学大学院卒業の傍嶋さんは、在学時から地域との関わりに興味があり、学生主体のアート団体「第0研究室」を設立。アートを通じた様々なイベントの企画や運営を手がけ、取手市での活動は10年になります。取手競輪場の壁画や市内の老舗酒蔵・田中酒造店のラベルデザインなど、取手市のみならず活躍の場を広げています。
人と関わることが大好きで、誰とでもすぐに仲良くなれる傍嶋さんは「芸術家は『堅苦しい・偏屈・食べていけない』と思われている方も多いでしょう。簡単なことではありませんが、私はそのイメージを変えたいと思っています」と話します。
アートと地域との関わりや今後の目標を伺いました。
■芸術家として生きていくには
芸大の壁画科を出ているので、メインとしては壁画を描いていますが、描くだけではなく、アートイベントとのコラボなどをしています。その他にデザインなどをしたり、いろいろな事をしています。
いかに自分のやっている業態で、みんながやっていないことをやらないとビジネスにはならないと思います。自分の専門性をもっと勉強して、芸術家が誰もやったことのないこと、一番やりたがらないことはなんだろう?と考えました。みんな絵を描くのは好きですが、事務的な作業や人との調整は苦手。僕はそれをどんどん得意にしていきました。
どんなシーンで一番必要とされるか、を考えるようになりました。そんなふうに思うようになったのは、学生時代から取手の面白い社長さんといろいろな話を聞く機会があったからだと思います。
■芸術家が必要とされる社会を
数年前にどこかの本で「芸大卒業の半分以上が行方不明になる」みたいなことが書かれていましたが、芸大で表現技法は学ぶのですが、社会で自立して生きる手法は学べない。芸術家ってそんなふうに見られているふしがあります。
僕は教員免許を持っているので、過去に竜ケ崎二高で非常勤教師をしていたのですが、1、2年たった頃に「来年度から来なくていいよ」と言われたんです。その時に「教育者じゃ美術の世界は変えられないな」と思ったんです。いかに芸術家が社会の中で自立して、必要とされる存在として確立していかないといけないし、それをしないといけないと思うようになりました。
現在、渋谷区で落書きを消す団体を立ち上げて活動をしています。渋谷区の企業とも連携して一般社団法人を立ち上げ、来年度からは大きな活動を始めて地域の課題を解決していきたいと考えています。
芸術を学ぶということは、多面的に観察するということです。たとえばリンゴのデッサンをするとしたら、上から見たり、下から見たり、時には食べてみたり、リンゴの構造を知らないといけない。芸術は多面的な視点が身につくと思います。
■継続は力なり
「続く」ということがとても大事だと思います。僕は絵がとても下手だったのですが、中学生の頃に「中学生新聞」という新聞に4コマ漫画を出し続けて初めて載ったとき、「あなたは絵が下手くそですけど「継続は力なり」です」みたいな講評をいただいて、それから上手くいかなくても継続していこう、一生芸術していこうという覚悟ができました。
ファシリテーター:フリーアナウンサー 小村悦子
写真:宇津井写真事務所 宇津井志穂