vol.176
菓子工房きらり
吉井 祐樹さん
Title
「子どもたちが気軽に買いに来られるお店であり続けたい」
豊かなグリーンに囲まれた一軒家のドアを開けると、ショーケースに大福や草餅、おまんじゅうなどの和菓子がズラリ。「ケーキ屋さんと間違われることもあるんですよ」と笑うのは、店主の祐樹さんのお母さん。「看板娘」として接客するだけでなく、店内の装飾も担当しています。「菓子工房きらり」のレシピは、このお母さんのお母さん、すなわち祐樹さんの祖母から受け継いだもの。稲敷郡河内町に工房を持ち、直売所などへ和菓子を卸していた祖母。その祖母を学生時代から手伝っていた祐樹さんですが、「初めはお小遣い目当てでした」と振り返るように、当時は和菓子にはあまり興味がなかったそう。ですが、祖母のそばで技術を習ううちに「自分に向いているのかも…」と考えるようになりました。その思いに至った理由は、効率を重視する祐樹さんの性格。手順の多い和菓子はともすると一つ一つに時間をかけてしまいがち。祐樹さんは従来の方法にとらわれず、味はそのままに、いかに手間を少なく作れるかということを常に意識しています。「和菓子は工夫しがいのあるジャンル。作業の前に計画を立て、その通りにこなせると達成感があったんです」(祐樹さん)。5年前に、現在の場所にお店をオープン。今では、お小遣いを握って足しげく通う小学生や中学生も多いのだとか。気軽に買える価格帯を保つためにも、今後も効率面を見直していきたいと話す祐樹さん。「常連の子どもたちが成長して親になり、その子どもがお店に来てくれる…。そんな日を楽しみにしています」。