小説「レミングスの夏」は、事件に巻き込まれて死亡した小学生の仲間たちが中学生になって、復讐計画を企てて実行する青春ミステリーです。
「レミング(ス)」とは、集団で大移動する習性を持つことで知られるタビネズミのことです。レミングスの大移動は滅亡に向かうものもあれば、新天地に向かう旅もあるそうです。復讐を誓った少年少女たちはレミングスのように、純粋に、正直に、そして真っすぐに、全員で新天地を目指すのです。楽しかったあの日を取り戻すために。 メガホンを取るのは五藤利弘監督。茨城県土浦市などを舞台にした青春映画「花蓮~かれん~」、出身地の新潟県を舞台にした「モノクロームの少女」「ゆめのかよいじ」など、地域に密着した青春映画の製作に定評がある五藤監督だから、否が応でも期待は高まります。5月には取手市民を中心に、エキストラのオーディションを開催。プールや図書館、中華料理店のお客様役、捜査本部の刑事役などが選ばれました。
7月には取手市を中心に、牛久市、つくば市、つくばみらい市などで撮影が行われました。あとは公開を待つのみです。 7月13日、取手駅の駅ビルBoxhill(ボックスヒル)4階の屋内公園「ハレメクテラス」にて、撮影に先駆けて行われた製作発表記者会見。五藤利弘監督、西田宣善プロデューサーと、出演者の7名が参加しました。
メインキャストは、レミングスのように突っ走る6人の少年少女たち。メインキャストの皆さんは役作りに対する意気込みについて語りました。 リーダー・ナギ役を演じるのは前田旺志郎さん。「ナギは自分と全く違うタイプで、自分にないカッコよさがあると思います。僕は普段ふざけて、それを見ている周りのみんなが寄ってきてくれるタイプですが、クールな言動でみんなを引っぱっていくナギのようなリーダーに憧れます。現場ではしっかりとしたリーダーになって、みんなをまとめていきたいです」前田さんは6人の中で最年長の高校1年生。前田さんのリーダーシップは、映画の中でどのように映っているのでしょうか。
ナギの一番の親友・アキラ役の菅原麗央さんはこう話しました。「学校では学級委員ですが、すぐに行動できないところはアキラと似ています。そんなアキラをしっかり演じたいです」前田さんと菅原さん、キャラクターの違う2人が織りなすコントラストも注目です。 その他のキャストも個性派ぞろい。 平塚麗奈さん(ヒロミ役)は、「ヒロミは生徒会副会長で目力のあるプライドの高い人という印象があります。私も普段は生徒会の書記で、みんなをまとめる立場ですが、みんなと楽しく、場を盛り上げながらやっています。
ヒロミのもつ責任感の強さなどを体当たりで演じていきたいです」と話しました。映画は初めてという平塚さんですが、ヒロミを演じるときの目力も見どころのひとつです。 瑚々さん(ヨーコ役)も映画初出演。「ヨーコは普通言えないことを言ってしまうような気の強さと、しっかりした面があります。私は、気は強いと思うけど、しっかりしていない部分があるので、精一杯ヨーコを演じていきたいです」瑚々さんはまだ小学校6年生。年上のキャストたちと同学年の役に挑戦する瑚々さんにも注目です。
桃果さん(ミト役)は、「ミトは引っ込み思案ですが芯のある強い子なので、そこを大切に演じていきたい」とのことです。普段は仲間とわちゃわちゃしているという独特の表現で会場を沸かせた桃果さん。スクリーンの中でもこの雰囲気を醸し出しているのでしょうか。
遠藤史人さん(モトオ役)は、「ムードメーカーな部分は、モトオと自分は似ていますが、気持ちを伝えるツールである口調が違うので、自分らしいモトオを演じたい」と語りました。演技力でモトオらしさを作るんだという意気込みが伝わってきます。 「素晴らしいキャストに恵まれた。わくわくしている」という五藤利弘監督。過去の出演作品などを観て、イメージ通りのキャスティングができたようです。「海街diary」に出演した前田さんには、自然な演技で雰囲気が良い役者だと感じて起用したそうです。菅原さんは、「BUMP OF CHICKEN」のPVでの中性的なかわいらしさ、神秘的な部分に魅力を感じたそうです。
メインキャストの皆さんは、茨城県の印象についても語りました。「撮影で茨城県に行くことが多いので、取手と聞いて親近感がある」と答えた平塚さん。「茨城県には海に行くことが多い」という菅原さん。一方、瑚々さん、桃果さん、遠藤さんは初茨城とのこと。前田さんは、こんなことを答えました。「ずっとバスケットボールをやっているのですが、茨城県はバスケットボールが強いイメージがあります」みなさん、それぞれの茨城県、取手市を感じながら、撮影されたのではないでしょうか。
メインキャスト6人の脇を固める1人には、取手市出身の俳優がいます。須賀刑事役の城之内正明さんです。五藤監督の作品では「花蓮~かれん~」「ゆめはるか」などに出演。「僕は取手市出身なので、ここで映画を撮影できて、とても感慨深いです。須賀は、モロ師岡さん演じる上司の長峰刑事を見習う立場ですが、長峰刑事の足りない部分を補うのが役目かなと思います。名コンビになれるように頑張ります」ふるさとが舞台の映画に出演する嬉しさがにじんでいました。