「みなさん、愛犬の首輪や洋服にはこだわるけど、リードって意外と無頓着なんですよね」と話すのは、ペット用リードの企画・販売を行う戸田さつきさん。
一般的なリードは金具で首輪とつなぎますが、戸田さんのリードは2種類の金具を使って首輪とハーネスの2カ所に取り付けることができるもの。リードは愛犬の命を守る大切なツール。もっと安全に配慮した商品があってもいいのではないか…。そう考えるようになったのは、2012年3月に愛犬・カンタくんを交通事故で亡くしたことがきっかけでした。「散歩中に首輪からリードが外れたことが原因。自分を責めたし、もう一匹の愛犬・メイの散歩も、それ以来怖くなってしまったんです」。そこで、同じことが起きないよう、首輪から外れにくいリードを自作しようと考えました。裁縫が得意な友人に協力してもらい、試作。自身のブログで紹介したところ、購入したいという方が現れました。
その4年後に転機が訪れます。第一期生として、取手市の「女性のための創業セミナー」に参加。さらに、中小企業庁が主催する「全国創業スクール選手権」のファイナリストに選ばれました。それまでは会社員と二足のわらじを履いていましたが、本気で事業に取り組む決意を固めます。
メーカーとの出合いを機に、夜間も安心して散歩できる反射材を使った新商品を企画。コストで悩んだものの、クラウドファンディングに挑戦し、商品化にこぎ着けました。翌年、MATCHMARKETに出店すると、メディアに取り上げられ、新たな販路も獲得。
これまでを振り返って戸田さんは、「小さな『無理』と小さな『成功』の積み重ねでした」と話します。目的がブレなければ、無理なことでも道は開ける。「愛犬を守る」という思いを胸に、戸田さんの挑戦は続きます。