~「伝統を進化させる」創業70年の挑戦~

 

2017年8月31日、第1回竜ケ崎市社長塾&交流会を開催致しました。

龍ヶ崎市長 中山一生市長も駆けつけていただき、大盛況な社長塾となりました。

売る商品によっては、買い手の層が偏ってしまい懸念されることもあります。今回は、その買い手の層の偏りに目を向け、多くの人に愛されるための売り方を考えた男性社長様をインタビュー致しました。

■祖父から刷り込まれて入った家業

今回ゲストにお迎えしたのは、竜ケ崎市光順田に本社を構え創業70年の歴史を誇る甘納豆製造店「株式会社つかもと」社長 塚本裕さん。お爺様が創業されて、塚本さんが3代目なのだそうです。幼い頃からお爺様に「大きくなったら店を継ぐんだぞ」と言われ続けていたのだとか。しかし、塚本さん自身は家業を継ぐことを考えていなかったと話をしてくれました。

大学を卒業後、ティッシュメーカー「十條キンバリー(株)」に就職し、営業としてご活躍。勤続5年目のとき、突然「お父さんの目が見えなくなった」とお母様から電話があり、それがきっかけで家業を継ぐために退職をしてご実家に戻ることになったのだとか。

その後40歳で家業を継承し、周りにいる新しい社長の勢いさに痛感。社長になるなら若いうちになったほうがいいと思ったそうです。社長を継ごうと思ったとき、2代目であるお父様からは「まだ早い」と反対をされたと話をしてくれました。その時、「それなら会社を辞める」と言ったのだとか。その時、お父様の年齢は70歳。お父様の年齢を懸念し話をしたそうです。それまで知らなかった経営のことを3年間かけて知っていったと話をしてくれました。

■甘く見ていた営業

十條キンバリー(株)で勤務をしていた頃は、営業として大手企業を相手に商談をしていたと語る塚本さん。家業を継ごうと決意した当初は「営業の経験があるから、きっとやれるだろう」と感じていたそうです。しかし、そんな甘い気持ちは早いうちから崩されることとなったのだとか。「甘納豆屋なんていくらでもあるんだよ」と相手にしてもらえないことが多く、とても悔しい思いをしたそうです。
その中で、信頼できるたくさんの社長様に出会い、仕事をしてくことができたのだとか。「戻ったら家業の売り上げを今の2倍にしてやろう」と必死になり、安売りをせずにとにかく売ることだけを考えていたと語ってくれました。それと同時に自分を認めてもらうことにも必死だったそうです。昔から店を一緒に支えてくれている番頭さんからは「社長の倅扱い」を受け、認めてもらうことが難しかったのだとか。そのために自分の売り上げを伸ばし、成績でやっと認めてもらえるようになったそうです。

■愚直さで繋がれた縁

塚本さんの今があるのは、ご自身の性格にある「愚直さ」だったそうです。塚本さんがご実家に戻られたとき、会社の中では一番年下だったのだとか。当時はまだ小規模の企業だったため、体が動く限りは仕事を続けたいと思う番頭さんが多く「新しい職人がいなければ経営が出来なくなる」と懸念していたことを話してくれました。愚直に仕事をしたのち、人が集まるようになったそうです。そのおかげで上手く人の入れ替えがされ、現在に至ることができていると語ってくれました。

ただ、新しい職人を集めることは大変だったらしく「求人を出しても仕事を続けられる人材ばかりがくるわけではなかった」と語る塚本さん。その時に感じたのは、常に自分に置き換えて一緒に働こうとしてくれる人のために、ある程度見た目を整えなければいけないと思ったのだとか。

 

 

■バイヤーやお客様の目線で作る商品メニュー

社長でありながら自ら甘納豆職人として製造も行う塚本さん。株式会社つかもとの甘納豆は豆以外にも野菜やフルーツで作られた「蜜漬け菓子」があり、それらはまず塚本さんご自身がレシピ考案をするのだそうです。その理由は、買い手が珍しいものに目がいくことを知っているからなのだとか。たくさんのメニューを考案し、「100個作って1つ当たれば・・」という感覚で考案し続けているそうです。美味しいものは売り込みをしなくても置いておくだけで売れていくものと語ってくれました。

甘納豆は地味に思われてしまう食べ物で、買い手の層は60~80代の女性が多いのだとか。その買い手の層を懸念し、30代や40代の若いお母さん世代が手に取りたくなるようなパッケージつくりをしたそうです。そのデザインは、2016年茨城デザインセレクション知事選定賞を頂くことができ、その後も海外企業ともも取引をすることが出来たと語ってくれました。

菓子業界にとって、1ヒット商品を作り一流の旗を掲げることは難しいのだそうです。「ブラックサンダー」でお馴染みの愛知県にある有楽製菓株式会社もヒット商品を生み出せるようになるまで大変だったのではないかと話をしてくれました。

■0から1を作る力を持つ

ユダヤ格言の中に「0から1の距離は、1から1000までの距離より遠い」と説いているそうです。1から1000にするには上手くこなすためのマネージメント力が必要。しかし、0から1にするには何かを生み出すものすごい力が必要だと話をしてくれました。塚本さんは、会社の信用や信頼を得るためにたくさんの認証試験を取得し、補助金を受けながら事業を進めているのだそうです。

 

 

■悩んでいるときは筋トレを

経営で悩みがあるときは、筋トレをすることで前向きになれるのだとか。頭が上手く整理され、必要なことだけの為に頭を使うことができるのでとても良い判断ができると語ってくれました。

 

 

■最後に

今回、竜ケ崎市で甘納豆製造し、創業70年の歴史ある「株式会社つかもと」社長 塚本裕さんにお話を伺いました。買い手の層が偏ってしまいがちな商品を買ってもらうためには買い手の心理状態を探ることも大切です。ぜひ、今回のお話を自分の事業へ活かして商品考案に役立ててみましょう。

ファシリテーター:フリーアナウンサー 小村悦子

レポート:Fun Hands Writing しずたん

写真:JAMWorks 宇津井志穂

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