今回のセミナーは、取手市で税理士事務所を開業されている仁井田恵さんをお招きし、起業時に知っておきたい税務に関する重要なポイントをお話しいただきました。
仁井田さんは、分かりにくく、取っ付き難いと思われがちな会計や税金に関する情報をわかりやすくお伝えし、お客様や地域の方々にとって税務の理解を促進することをモットーに活動されています。
今回のセミナーでは、起業初期に特に重要な税務の疑問を以下の5つに絞り、解説いただきました。
①青色申告とは?
②経費とは?
③会計ソフトの預金の残高がマイナスになった?
④減価償却とは?
⑤インボイスとは?
仁井田さんは、セミナーの冒頭において、現代の税務処理におけるソフトウェアにより確定申告書の作成が容易になったものの、税金計算の基本的な流れを理解していない場合があることに注意が必要であると指摘しました。自動化の利便性が、結果として税金が増加した理由や入力ミスに気づかないことに繋がる可能性があるため、注意が必要な事。確定申告を行う際には、基礎知識をしっかりと理解しておくことの重要性が強調されました。
1.青色申告とは?
青色申告の仕組みと特典について説明。特別控除の種類(10万円、55万円、65万円)や、複式簿記の必要性について例を用いて詳しく解説されました。
2.経費とは?
経費の取り扱いについて、経費になるかの判断基準として、その支出は「売上をあげるために必要か?」「経費にした経緯を説明できるか」等具体例を交えながら、部分的経費の計上方法や、経費科目の選択について解説されました。
会計の一番の目的は、事業の収支状況を把握するためで、経営のためである事を強調されていました。
3.預金残高がマイナスになった?
会計ソフト使用時の預金残高がマイナスになる問題についてです。会計ソフトを使用する上で非常に重要な、事業用口座の管理方法と事業主貸借の考え方について詳しく説明されました。プライベートの自分と事業をしている自分の口座を明確に分け、取引を正確に記録し、適切な管理を行うことで、預金残高がマイナスになるリスクを軽減することができる事、個人と事業を区別する意識を持つことが重要な事を再確認しました。
4.減価償却とは?
減価償却の基本と概念、実務上の取り扱いについて、耐用年数の考え方や少額特例の適用について詳しく解説されました。
5.インボイスとは?
新制度の概要と影響について、特に免税事業者への影響や、登録の判断基準について詳しく説明されました。売上先に迷惑がかかってしまうのではないかとインボイス登録される方がいるが一度登録すると簡単にやめられない為、起業したばかりの方の登録は慎重な判断が必要であるとのアドバイスをいただきました。
仁井田さんは、これら5つの疑問について、難解な税務の知識を具体的な例を交えながら丁寧に説明してくださいました。参加者の方々は青色申告書に目を通し、イメージを膨らませながら耳を傾けていました。
セミナーの最後に仁井田さんから、「起業した際に書類の不備を心配するあまり、過度に税務に不安を感じる方が多いことを指摘し、起業の芽を「何か大変そう」だけでつぶさないでほしい事。税務処理よりも自身の事業に全力を注ぎ、起業時の情熱や目的を忘れずに、まずは自分のビジネスを育てていく事に集中しましょう」と温かいメッセージをいただきました。
仁井田さんありがとうございました。
協力:起業家のための共学共創コミュニティ*とりでコネクテッド
レポート:稲葉桂子