美佐子さん: 主人が一人で作っていて、量産はできないので、「お客様の様子を見ながら、一つ一つ丁寧に仕事をすること」でしょうか。魅力のあるものでないとお客様は来てくれないので、お客様が楽しんでくれるものは何なのかをいつも考えています。
例えば、季節の果物を使ったお菓子や地元の特産品を使ったお菓子などを出しています。田中酒造店さんの酒粕を使ったドーナツなどもありますよ。これからの商売は、個性がなければ成り立たないような気がしているんですよ。ネット販売でケーキも届けてもらえる世の中ですが、店が開いている時間に合わせて買いに来てくれるお客様に喜んでもらえる商売をやっていかないと、私たちのような小さなお店はやっていけないと思うんですよ。お客様の喜んでくれるものを自分たちのできる範囲で広げていくことを心がけています。
吉也さん: 変化があって楽しいのですが、休む時間はないですよ。連休を取ったことはないですね。
吉也さん: 最初はパン屋さんで働いていたんですよ。パン屋さんって朝から晩までやることがある程度決まっているんです。そうすると、だんだん飽きてきて、もう少し違うことをやりたいなと。そして東京の「ルコント」というフランス菓子の名店に面接を受けに行ったら、受け入れてくれたんです。
当時、私は26歳でした。普通は18・19で入るので、あり得ないのですが。おそらく、チーフが私のやる気を買ってくれたのかなと思います。チーフ自身もデザイン学校を出て、ケーキ屋さんになった方なので、年齢や経歴にこだわらなかったのではないでしょうか。昔から独立したいと思っていましたから、私にとっては修行の期間ですね。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
吉也さん: 自分で目標を決めたら、責任を持って、根性を入れてやるしかないですよね。決めたのは自分なんだから、自分が責任をもってね。
美佐子さん: 信念をもって、正直な商売をしているとお客様がついてくると思います。あぐらをかいちゃったらダメですよ。