この店はもともと両親が始めました。1974年のことです。当時は普通の酒屋で地酒専門店ではありませんでした。私がこのお店を継いだ1998年ごろ、酒類免許や販売価格の自由化で、厳しい状況になってきていました。そんなとき、たまたま立ち寄った地酒のお店で試飲をさせていただいたのですが、個性的で美味しい地酒に出会ったんです。それまで日本酒がこんなに美味しいとは思っていませんでしたが、地酒にとても魅力を感じたんですよ。それで、日本酒がメインの地酒専門店にしようと考えました。
店に置くお酒は全部試飲をして、良いと思ったものを選んで、酒蔵さんにお願いをして取り扱わせていただいています。お酒の美味しさを教えてくれた出会いのお酒は、石岡市の「渡舟(わたりぶね)」、初めてお取り引きをした始まりのお酒は、結城市の「武勇(ぶゆう)」です。ご縁を頂けた時の嬉しさは、今も忘れません。
私の場合は、お客様だけではなく、酒蔵さんや問屋さんなどサプライヤー側の方々にも信用を得ることがとても大事ですから、関わる全ての方々の信用を失わないようにすることと、感謝の気持ちを忘れないことを大切にしていますね。これらの気持ちを大切にして、日本酒の魅力をより多くの人に伝えていきたいです。
この9月に取手駅の駅ビルでお酒のイベントを開催できるのも、支えてくださる方々のおかげだと思っています。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
どのような店にしたいのかというイメージをしっかり持って、それに向かって努力していくことが一番大事じゃないでしょうか。このようになりたいと強く思わないとなかなか思うようには進んでいかないかもしれません。自分も専門店にしたいという強い思いがありましたから、行動に移っていけたと思います。
強い思いがなければ、酒蔵さんは大事なお酒を託してくれなかったかもしれません。強い思いは「好き」という気持ちから生まれてくると思いますので、それを持ち続けることが大切ですね。私はお酒が大好きですから。