私の場合は、「後を継いだ」というより「その道しかなかった」といった方がいいですね。私は二人兄弟で、兄は昔から勉強がよくできたんです。出来の良い長男に家業を継がせるのは親にとって「もったいないこと」と感じていたのかもしれません。だから、次男坊の私が家業を継ぐのは自然な流れだったと思います。
地元の大学を卒業後、家業の道へ。当時は仕入れや商談など重要な業務は何もしていなかったので、アルバイトのような状態で働いていました。経営のことなど全く知らないまま家業を継いでしまった自分に経営のノウハウを教えてくれたのは、竜ヶ崎青年会議所で出会った地域の経営者の方々でした。竜ヶ崎青年会議所は、「いろいろな人に会った方がいい」と周囲から勧められて27歳の時に加入したのですが、当時は「こんな田舎町でもすごい経営者がたくさんいるんだ」と衝撃を受けましたね。
当社が製造販売しているお餅は全て国産のもち米を使い、「つきたて」を売りにしています。この販売方法で、苦境に立たされていた時期も乗り越えることができました。また、製造したお餅を天日乾燥して作った「田舎揚」は、しょうゆのみで味付けするシンプルな製法。その素朴な味わいにたくさんのファンがいます。直売所に来てくれるお客様の中には「足立さんの商品って懐かしい味なんだよね」と言ってくださる方もいて、そういう声を大切に、できる限り今の製法を守っていきたいと思っています。
袖振り合うも多生の縁
この言葉は竜ヶ崎青年会議所で教えていただきました。ちょっと名刺を交換しただけでもそれは「ご縁」です。「たとえ1勝9敗であっても1勝できればいい」その気持ちで人とのつながりを大切にしています。