お父様と一緒にお店をやっておられますが、ご苦労などありますか?
最初は父親とぶつかったこともありますが、今はお互いに分かり合える部分が多く、一緒に難を乗り越えていこう、良い方向に持っていこうとお互いが考えています。ケンカするくらいなら、1つでも多くシャリを握ったほうが良いと。
実家に帰る前、名古屋の寿司屋で修行をしていました。名古屋に行くときは父親に相談することもなく、何のあてもなく、寮のある寿司屋を探して、飛び込みました。修行に行く日を決めて、計画的に少しずつお金を貯めて。父親に言うと反対されて行けなくなるかもしれないと思ったので。父親に事後報告をしたとき、怒られることもなかったです。父親もいろんなところで寿司を握っていた経験があるので、私の気持ちを分かってくれたのでしょう。
街の外れの寿司屋なので、鮨源に行こうと思ってもらえないと来てくれないんですよ。だから、来てくれる地域のお客様を大切にしたいです。修行をしていた18歳から24歳くらいのころは、寿司屋になることしか頭になく、地域のことは全く考えていませんでした。大きな都市だとお客様と接するのはお店の中だけですが、ここでは寿司屋とお客様の関係だけではないんですよ。地域の行事やお祭りなどには白衣を脱いで参加しますし、地域の方々が七五三や法事などのときに鮨源を選んでくれますし。地域に必要とされる寿司屋であり続けたいですね。
私が取手に帰ってくることになったのは、人手が足らなくなったこともありますが、父親が代替わりのことを考えて、私を呼び戻したのかなと思います。急に代替わりするよりは、一緒にやりながら時間をかけて溶け込むほうが良いだろうという考えがあったのでしょう。
これから起業する方々、独立する方々にエールをお願いします。
取手って昔から住んでおられる方もいれば、新しい方もおられるので、昔からのお客様を大事にしながらも、新しい方にも対応しないといけないと思うんですよ。「取手はこうだから」と決めつけるのではなく、新しいものも取り入れていけば、地域に見合った面白い商売ができるのではないでしょうか。取手での起業を楽しんでください。