去る10月8日(土)、取手市市民会館にて、映画「レミングスの夏」の完成披露試写会が行われました。3回の上演で、観客は1000人超。この日を楽しみにしていた多くの方々が詰めかけました。
観たかったけれども観られなかった方のために、観たけれどももう一度思い出したい方のために、完成披露試写会の様子をお届けします。

取手在住の作家ならではの視点で描かれた物語

この映画の原作は、取手市在住の江戸川乱歩賞受賞作家・竹吉優輔さんの小説「レミングスの夏」です。この小説の中では、架空の街「富手市(とみでし)」が舞台ですが、登場する学校や施設は取手市内に実在するものばかり。取手市を愛する竹吉さんならではの描写が随所に見られます。

小説「レミングスの夏」は、事件に巻き込まれて死亡した小学生の仲間たちが中学生になって、復讐計画を企てて実行する青春ミステリーです。「レミング(ス)」とは、集団で大移動する習性を持つことで知られるタビネズミのことです。レミングスの大移動は滅亡に向かうものもあれば、新天地に向かう旅もあるそうです。復讐を誓った少年少女たちはレミングスのように、純粋に、正直に、そして真っすぐに、全員で新天地を目指すのです。楽しかったあの日を取り戻すために…

メインキャスト勢揃いの舞台挨拶

さて今回の完成披露試写会の上演前、メインキャストの少年少女たち(前田旺志郎さん、菅原麗央さん、平塚麗奈さん、瑚々さん、桃果さん、遠藤史人さん)、取手市出身の俳優・城之内正明さん、五藤利弘監督、原作者の竹吉優輔さんら関係者が登場した舞台挨拶では、会場から大きな拍手が送られました。

茨城県フィルムコミッション推進室長・後藤久さんは「水と緑の豊かな取手を舞台にした作品を地域発の映画として、全国展開していただければ」と、期待している胸の内を語りました。また、五藤利弘監督には「県北を舞台にした作品も撮ってほしい」という要望を出しました。

五藤利弘監督は、この要望に対して「原作:竹吉優輔、脚本・監督:五藤利弘でやらせていただく準備はできています」とのことですので、楽しみがひとつ増えました。

五藤監督は、映画「レミングスの夏」を作るに至ったいきさつについても話しました。「一昨年の暮れ、取手駅近くの居酒屋さんでお酒を飲んだのが始まりです。以前茨城県を舞台にして撮影をした映画『花蓮~かれん~』の縁で城之内正明くんと出会い、城之内くんが竹吉優輔さんと引き合わせてくれたんです。また、映画『花蓮~かれん~』ではプロデューサーの城之内景子さんとの縁もあったとのことで、良い縁に恵まれたことに感謝していました。

今回は完成披露試写会ですが、観客にアンケートが配られ、観客の意見を受けて新たに編集を加えるとのことですが、取手市が舞台なので、まずは地元の皆様に観ていただきたかったという熱い思いを吐露しました。

「原作の最も強いメッセージは、大切なものを貫き通す思いだと感じた。そのほかにも、ミステリー要素や日本の風景など、さまざまな見どころがあるので楽しんでほしい」と呼び掛けました。

竹吉優輔さんは、茨城県を舞台にした新刊「ペットショップボーイズ」の告知もしながらの挨拶となりました。また、来場している江戸川乱歩賞作家の下村敦史さんの告知をさりげなく(?)話す気の使いよう。
「キャストの皆さんが私の頭の中で描いたキャラクターをしっかり演じてくれて、私の脳内から出てきたんじゃないかという思うくらいでした。キャストの皆さんを取手の子だと思って応援していきたい」と話しました。

レミングスのリーダー・ナギ役を演じた前田旺志郎さんは、「自分で演じたのに、ウルッとするくらい感動的な映画です」とPR。また見どころのひとつに、キャストだけではなく、裏方も関係者も、美男美女が揃っていることを挙げ、会場を沸かせていました。

ナギの一番の親友・アキラ役の菅原麗央さんは、「茨城県、取手市の魅力が詰まった映画です。また、6人の友情にも注目してほしいです」と、この映画の見どころを伝えました。

ヒロミ役の平塚麗奈さんは、「過酷なシーンが多くて難しかったけど、体当たりで演じました」と、やり切ったという様子です。周りの皆さんへとても感謝していました。

ヨーコ役の瑚々さんは、初めての映画で緊張したそうですが、周りの方々に支えられて、とても良い経験になったとのことです。また、こんなことも話していました。「ダンスは苦戦しましたが最終的にはよくできたかなと思っています。そこはあまり意識しないで観てください」ここも見どころのひとつです。

ミト役の桃果さんも初めての映画で、メインキャストは小学校6年から高校1年までと年齢がバラバラで最初は不安だったそうですが、とても楽しく、力を合わせることができたと正直な気持ちを吐露しました。見どころには、ヒロミ役の平塚麗奈さんを監禁するシーンを挙げました。このシーンの緊迫感はもちろんのこと、夏に撮影したというみんなの頑張りにも注目してほしいとのことです。

モトオ役の遠藤史人さんは、今回の撮影で初めて取手に来たそうです。父と祖父母が以前に取手に住んでいたので、「取手はどんなところだろう」と思っていたそうで、実際来てみるととても良い環境だったと、取手を気に入ってくれた様子。

取手出身の俳優・城之内正明さんは、20数年ぶりに母校を訪れたことに感慨深げ。大人の役者たちだけで繰り広げられる「大人パート」はアドリブが多いので、そこが見どころだそうです。

一番の見どころは「チームワーク」

最後は、メインキャスト6人で友情の証の「グー!」で締めてくれました。チームワークの良さが感じられる舞台挨拶でした。

取手を全国の人たちに観ていただきたい!知っていただきたい!感じていただきたい!
取手市民の思いの詰まった映画「レミングスの夏」。来年初夏の全国公開が楽しみですね。

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