取手市は「健康で暮らしやすい街づくり」を目指しています。
中でも、「働く女性にやさしい街」であるために
子育て世代・共働き世帯への保育環境の充実などに力を入れています。
働く女性にやさしいということは、育児も介護もしやすくなり、全ての世代に元気をもたらすことが期待できます。
そんな取手市を発展させていくためには何が必要かを考えていこうと、藤井信吾取手市長と取手市でご活躍中の女性起業家の皆様にお集まりいただきました。
稲葉さん
美容室を経営しています。美容室の他に茨城県の職業訓練校も18年しております。
来春からは厚生労働省認可の美容学校を開校することになりました。私どもが取手市にご協力できるとしたら、若い人たちが少し集まるようにすることくらいですね。
美容師は息が長い仕事ですので、自分のプランに合わせた働き方ができると思っています。
清水さん
患者様に対してニュースレターを出したいけれど、忙しくて出せない整体院や鍼灸院などの治療院に代わって、健康情報満載のニュースレターを出すというサービスをしております。
現在は、治療院だけではなく、経営コンサルタント、エステや美容室などからのご要望にもお応えしております。私は起業して4年ほどですが、その間に子供も産み、保育園に通わせながら仕事をしています。
沢辺さん
去年の7月に白山商店街にお菓子のお店をオープンし、一人で経営しています。
もともと取手出身ですが、離れて仕事をしていた時期もあります。
以前のように賑やかな白山商店街になってほしいという思いがあり、白山商店街にお店を出しました。私のお店ができたことによって、このようなお店があると子どもたちの記憶に残り、その子たちがこのようなお店をやりたいと感じてくれたらと思っています。
市長にお聞きしたいのですが、取手市は現在、どのような取り組みに力を入れているのですか?
藤井市長
取手市は「健康で暮らしやすい街づくり」を掲げており、さまざまな施策を講じた果実が出てきております。
その一方で、ファッショナブルな近隣の都市は若い人たちが転入してきているのに対し、取手市は若い層の割合が小さくなっています。今から30年くらい前に、東京への通勤の便が良いから取手を選んで、取手を支えてくださった方々は元気にご活動されているのですが、若い方々にいかに留まってもらうか、戻ってきてもらうか、入ってきてもらうか、そこの施策を打ち出さないと近隣都市に勝てません。
平成23年は転出が転入を696人も上回っていましたが、平成26年には転入のほうが多くなり、現在はそれを確かなものにしようとしています。
そこで、住宅取得補助、優遇金利、そして一般社団法人移住・住みかえ支援機構による家賃補助を開始しました。市がこの3つをセットで行うのは日本初の取り組みなんですよ。
若い方々が取手を選んで住んでくれるようになると、取手が元気になると考えています。納得する場所で仕事をし、自分の人生を見つけ出すことを応援していきたいです。
取手は働きやすい街だと思われますか?
沢辺さん
私は都内に働きに出ていた時期もあります。東京までのアクセスが良いので、取手を拠点にして東京まで通うのは便利だと思います。
でも、取手で働いて、取手で生活をして、取手だけで全てをしようと考えた場合、難しい部分があるのかなと感じています。
清水さん
取手で働いている方も多いみたいですよ。
私は、上の子が小さいときは都内に働きに出ていました。保育園が7時半(当時)に開くのに、6時半に家を出なければいけませんでした。都内に勤めている方が多いと思っていましたので、他のママたちはどのように働いているのだろうと思っていました。
最初しばらくは子どもを親に預けていたのですが、保育園に預けるようになったときに、他のママ友たちは意外と遅い時間に預けに来て、早い時間に迎えに来るんだなと思いまし
た。
そのときにこの辺で働いている人もいるんだ、都内で働く以外の選択肢もあるんだと初めて知りました。
稲葉さん
子どもが3歳までは自分の手で育てたほうが良いのではと思っています。産まれてきてすぐに保育園に預けて、保母さんに毎日10時間も育てられたら、
「誰に似るの?」
「誰のお子さんですか?」
と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
私は子どもが小学校3、4年生から働き出したので、今のことはよくわかりません。「三つ子の魂百まで」と言いますので、何年も働く中の3年くらいは子どものことを中心に考えてほしいような気がします。
藤井市長
これはとても大事なことです。
保育の充実はもちろん必要ですが、お母様方にはお子様を育てることが幸せであると感じていただきたいです。そして行政だけではなく民間の企業も育児休業などの制度を充実させていただきたいですね。
そうしないと子どもの数が増えませんから。
稲葉さん
目先のことだけではなくて、5年後10年後を見て、3年間は仕事を抑えて、子どものために費やしてもいいのではないでしょうか。
職場のみんなで補い合っていければいいと思いますよ。
藤井市長
私は1990年代アメリカにいたことがありますが、女性が働きやすいシステムができていたことに感心しました。
企業内保育所が備わっていたり、フレックスタイムにより働く時間を柔軟に決められたりと、仕事と生活の両立に対して
しっかり向き合っていると感じました。
沢辺さんは結婚・子育てに対する不安はないですか?
沢辺さん
良い制度があっても、情報が入りにくいと感じます。
私は今29で、昨年一昨年くらいに結婚をする友人が多かったのですが、私たち世代は取手市にいろんな制度があることを知らない子が多いと思います。
情報を探しに行くところまで行きつかないこともあります。取手市は子育て支援の施策などを発信してくださっていると思いますが、情報が自然に入ってくるくらい広めていただければと思います。
清水さん
沢辺さんのお気持ちはすごく分かります。私は36ですが、私たちの世代で新聞を取っている家庭は少ないんですよ。
ただ、子どもを産むと情報をシェアするのが早いと感じます。子育て世代は、子どもたちに楽しい思いをさせるために
情報を集めたいので、情報を取りに行きます。
そこのネットワークに乗せることができれば変わるかもしれませんね。
藤井市長
結婚や妊娠をされて、母子手帳をもらったり、相談窓口に行ったりすれば、体系的にパッケージで本人に届くようにはなっているのですが、まだその段階でない方々のところには届きにくいのかもしれませんね。
その解決策として取手市では今、動画、目に見える形でいろんな情報をお伝えしようとしています。例えば、育児でしたら、4分の簡易版と14分の網羅版を用意しています。
市民の皆様が抱えるいろんな分野の不安を解消できるように努力します。
清水さん
これらの情報を得るのが大人になってからでは遅いと感じるときもあります。
子供のとき、中学や高校の時に教えられる働き方、子育ての価値観などが大きな影響を与えると思いますので、中学や高校にも目を向けることも必要だと思います。
藤井市長
多様な年代の方々に納得してもらえるように努めないといけませんね。
たしかに若い世代へのアクセスは弱いかもしれません。
取手市さんは広報などを通じて、情報発信をされていますが、若い世代には届いていないのでしょうか。
スマホでは情報を選択してしまいますから。
若い方々にも少しは市政に興味を持ってもらえればと思います。
藤井市長
「イージーカム・イージーゴー」
(簡単に手に入るものは、簡単
に消え失せる)
という言葉があります。
フェイストゥフェイスで情報を仕入れることを面倒がらないことも重要だと思いますね。
SNSなどで仕入れた情報は断片的で不十分なことがあります。
清水さん
私は3人の男の子がいます。先ほどの稲葉社長の「三つ子の魂百まで」というのはよくわかります。私も自分の手で育てたい思いが強いので。
ただ、育てにくいと感じる部分もあります。
正直保育園に入れたほうが楽だと感じることもありますが、保育環境が充実していて保育園のほうが居心地よいのも問題だと思います。みんな葛藤の中で子育てをしているのかな。
預けたい、預けたくない、寂しい、でもちょっとホッとする。ものすごく揺れながら仕事や生活をしていると思います。これをどのようなバランスでやっていけば良いのかを考えています。
私の会社は今パートの方が10人くらいいるのですが、これからは正社員の方も採用したいと考えています。そうすると、子どもと接する時間を自由に選択できるようにしたいです。子どもを連れてきても良い、家で仕事をしても良い、というようにしたいです。
フレキシブルに自分の子どもとの接し方を選べる会社が増えてくればと感じます。保育園に行くか行かないかを選択できる考え方を広めていきたいです。
起業も個性ですので、さまざ
まな個性を認め合う社会を作っていこうという私たちMatchとりでの主旨と同じですね。
稲葉さん
清水さん、多様な働き方ができるモデルを作っていただけるとすごく良いと思いますよ。
私たちの美容室もいろんな働き方ができる環境を提供していきたいと思っています。
週3日だけ働くなど、それぞれの状況に柔軟に対応できます。
私たちは育成型のお店なので、やる気のある人を応援したいのです。
「もうちょっとこうしてくれたら働きやすくなるのに」と感じることはありますか?
沢辺さん
20代の方は、楽しいかどうかを重要視します。楽しさが伝わると、取手市について調べてみようとなります。
だから、興味を持ってもらうために、イベントの場を増やしていただければ良いかなと思います。
そうすると、イベントで出店してみようという人がきっと出てきます。そこから実際に起業することにつながるかもしれません。
藤井市長
賑やかさという意味では、6月12日に取手ウェルネスプラザを中心に、「絆フェスティバル」を開催しました。
取手ウェルネスプラザの外でイベントができるかどうかやってみようということで行ったのですが、大盛況でした。
このようなイベントを常設化できたらと考えています。
藤井市長
取手は今、変わろうとしています。
今までは東京まで通いやすいというこの一点の価値が高かったんです。
これからはいろんな選択肢があって、いろんな人生設計が描けるという理由で、取手を選んでいただけるようにしたいです。起業しやすい街として、さまざまなパートナーと出会える街として、発展する可能性は感じています。
多様な生き方・個性を認め合う「起業家タウン取手」が取手の皆様の豊かな生活に貢献できればと思います。
これからも取手市の発展のために何ができるかを考えていきましょう。「Matchとりで」では9月から女性のための創業セミナーを開催いたします。受講生の中から、取手市を盛り上げてくれる起業家が誕生すればうれしく思います。本日は、ありがとうございました。