2018329

 

~技術職の中に「接客」を取り入れる~

 

【ゲスト社長】株式会社レガニスター ドッグサロン&ホテルNOSCA 山中 渉さん

http://www.nosca.jp

 

 

今回ご登壇いただいたのは、地元・龍ケ崎市でドッグサロン&ホテルを経営する山中渉長さん。

ご自身でも犬を飼っていた山中さんは、よりお客様との関係を大切にしたサービスができるのではないかと考え、2012年にドッグサロン&ホテルを開業しました。それまでは移動体通信業界に12年間勤務しており、異業種での起業です。

お客様にとって身近な存在に感じていただけるよう、トリミング中に気づいたワンちゃんの体についてお伝えしたり、トリミング後の写真をプレゼントするなど、お客様との距離を大切にしています。

 

 

■考え込まないこと

普段からあまり深く考えないようにしています。どう転んでもどのみち解決はする。悩みはありますが考え込まず、時間が解決するだろうとか、やり方が解決するだろうと考えるようにしています。

■異業種からの起業

サラリーマンから独立する1年前までは、ドッグサロンをやりたいわけではありませんでした。ただ、起業したい気持ちはあったので、お金を稼ぐ手段として今まで経験してきた業種や、自分ができることの範囲で何かをやろうと考えていました。

もともと私は独立志向が強いほうで、両親は地方公務員だったので自分はもっと違うことがしたい、自分で商売がしたいと思っていました。祖母がディスカウントショップのようなお店をやっていたこともあって子供の頃から売買には興味がありました。

 

サラリーマン時代は移動体通信業界、いわゆる携帯電話の販売代理店に勤めていました。お店での売り子から始まって、最終的にはエリアマネージャー、KDDIの統括マネージャーになり、法人事業までやらせてもらい、12年ほど勤務していました。

当時は成長期の業種だったので売れば売るほどお金になったし早く出世もできた。30歳前半でこんなにもらっちゃっていいのかな。っていうくらいお給料も高かったです。ただ、ゆくゆくは独立したい気持ちがあったのと、若い業界だったので私のすぐ上の上司は45歳くらい。その人が定年するのは何年後?って考えちゃったんです。上司が定年する頃には私も50歳を超えてしまうし、それまでこの会社には居れないと思ったんです。会社って、ピラミッドの上の部分が抜けないと相当上手でなければ上がっていけない。その時に、自分の底が見えたというか、これ以上は出世しないなと。やっていることもマンネリ化してきていたし、どこかのタイミングで環境を変えようと一念発起し、脱サラしました。34歳の時でした。

 

ドッグサロンと携帯電話の販売代理店では、全く異業種だと思われますが業種は違えど考え方は一緒で、店を出してサービスを提供し、お客様に満足していただいて対価をいただくという過程は同じなんです。お金をいただく手段が違うというだけで、今までやってきたことと変わらないと考えています。

トリミングを選んだきっかけは、自分も犬の飼っていて、お店に預けると綺麗になって帰ってくるのですごく満足するんですが、携帯電話販売の接客で培ってきた立場からすると接客の質が雲泥の差。技術はあっても細かいサービスへの配慮が気になったんです。

もうちょっと自分なりの考え方を組み込めば、地域の一番店になれるんじゃないかと思い、ドッグサロンを始めることにしました。

また、携帯や車ってリピーター商売なのでずっと買い換えてくれる。ドッグサロンも気に入ってもらえればまた使ってもらえるので、大きくは儲からないけど潰れない。商売は「潰さない」ことが鉄則なので、これにも合致しているんじゃないかと考えました。

■いざ、オープンへ

実際のやってみると自分の仮説とはだいぶ乖離していました(笑)いろいろネットで見るとペット業界も繁忙期と閑散期があって、1ヶ月あたり100頭こなさないとやっていけないと書いてあったんです。当時は業界のことを知らなかったので、「そうか、じゃあその通りに考えると、スタッフ4人いるから400頭か。この辺にそんなに犬いるのか?需要あんのか?」と考えながらも100頭で計画。これぼろ儲けになっちゃうけど大丈夫か?なんて考えていましたが、実際には無理。100頭なんて、やろうと思えばできますが2ヶ月も続いたらスタッフがパンクするような仕組みだったという、仮説が甘かった。ネットのコンサルが書いたことを鵜呑みにするのは良くなかったですね。今は常に下のラインで考えるようにしています。

 

トリマーの資格は民間資格なので無くても仕事はできるのですが、トリミングはスタッフに任せ、自分は乾かすのを手伝うか電話に出るくらいです。自分の給料はスタッフに稼いでいただく環境にし、自分はお客様を呼ぶ仕組みを作ることにしました。

ただ、トリマーがどれだけ大変かということを経験するために短期で2週間ほどトリミングの学校には行きました。

 

最初のころは全然お客様も来ず、スタッフも過剰な状態でしたが2年目くらいからはトントンになり、うちは全員正社員で雇っていてパートさんがいないので、単月黒字になるのにそれから半年くらいはかかりました。その頃はチラシを撒いたり、子育てのひと段落した50代、60代をターゲットにしていたので、2ヶ月に一回は紙面の広告を打ったりしていました。それから少しずつお客様も増え、リピーターもできるようになりました。現在は99パーセントがリピーターのお客様です。現状では新規のお客様が来ても2、3週間待ちの状態で、何とかしなければならないと感じています。

 

創業から6年目になりますが、2、3週間待ちの状態までリピーターさんが増えていったのは、ひとえにスタッフのみんなが私の想いを汲んでくれて頑張ってくれているからだと思います。

親切、丁寧、感謝のこころを忘れずに、生き物なので怪我をさせてしまうこともありますが、それは素直に謝ろう。嘘やごまかしは絶対にしない。という考え方の部分を伝えています。それが今の結果につながっているのだと思います。

 

 

■異業種ならではのアイデアで、他者と差別化

トリミングをしたワンちゃんの写真を撮ってお客様に差し上げるサービスは私の考案で、トリミングしたばかりのときは綺麗になるんですが、数日後にはそうでもなくなっているという自身の経験もあって、写真をプレゼントするサービスをしています。

私がお店を始める時には龍ケ崎市にすでに8店舗ほどトリミングのお店があり、後発として地域一番を目指すには特徴を出していかないといけないので、写真を撮って差し上げることを始めました。

その他、他店との差別化としてワンちゃんのコンディションを記したレポートを渡しています。ちょっと今日は皮膚が硬くなっていますね、とか、お客様とのコミュニケーションにもなります。

 

近隣に真似されたことといえば、「シャンプーカット」という表現は私がはじめに使っていたのですが、普通に見かけるようになりました。私は「トリミング」という言葉は使わないんです。専門用語が乱立しているような業界なので、誰にも伝わるような言葉を使うようにしています。

 

 

■今後の目標

今後は近隣にもお店を出したいなと考えています。実は2年前から探していたのですがスタッフがなかなか定着せずにペンディングしている状態だったので、今年はやりたいなと思っています。

 

 

異業種への挑戦は成功への近道!?

これまで経験してきた業種から新しい業種に挑戦するというのは、オリジナリティのある商売ができる。と本部長の吉田はいいます。

その業界に長くいると、業界の中での成功のパターンでやろうと思ってしまうので先発を追い抜くことはできない。しかしまったくゼロからのスタートで業界に入っていくのは勝てるパターンかもしれない。

もちろん、その業界の基本的なところはしっかり身につけることは大切ですが、あなたのアイデアによって、業界の常識が変わる!?かもしれません。

 

これから起業を考えている方は、今まで経験したことのない業種への挑戦も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

ファシリテーター:フリーアナウンサー 小村悦子

写真・レポート:宇津井写真事務所 宇津井志穂

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