Match取手廃業相談員の西澤です。

前回は中小企業ができる廃業の方法について書きましたが、今回は「今できる廃業の準備“はじめの一歩”について確認しましょう。

廃業の準備としてやるべきことは以下の3つです。
①まとめるべきものをまとめる
②処分出来るものを処分する
③書類を用意する

①まとめるべきものをまとめる
これだけ書くと、何の事かよく分からない感じですが、事業が忙しくて「やらなきゃなぁ~」と思いながらもついつい後回しになっている事が色々とあると思います。それらがまとまっていない事によって、後々廃業する際にとても面倒な事になる事が想定されます。まとめた方がよいものとして、以下のものが挙げられます。

・株主
業歴が長い会社の場合は、先代の付き合いや親戚の方に株を所有してもらっているケースがあります。少数の株主がたくさんいる場合は、手続きが大変になります。事前にまとめることができるようであれば、廃業の手続きがスムーズに進みます。

・取締役
破産や民事再生の手続きをする際には必ず、取締役会の開催が必要になります。取締役会で合議できないと、手続きが進められません。簡単なことではありませんが、廃業を考える時には、取締役の構成をまとめておく方がスピーディーに手順を踏める、という事を頭に入れておいた方がよいでしょう。

・借入
事業の性質上、多くの金融期間と取引しなければならない企業もあると思いますが、廃業・破産をする際には金融機関とのやりとりは非常にデリケートなものになります。可能であれば出来るだけまとめておいた方が安心です。

・就労規則
古いままになっていたり、社労士の先生にお任せになっていないでしょうか。廃業すると、従業員の解雇や依願退職という事が当然出てきます。退職金の規定についても、一度見返しておいた方がよいでしょう。

②処分できるものは処分する

・土地/建物
土地や建物の処分は一朝一夕に進められません。廃業や破産をすると当然、土地や建物の処分が必要になります。権利関係が複雑だったり、違法建築(既存不適合)になっていると、にわかに売却もできません。私も廃業の際には、それまで一度も見た事がない土地を処分したり、他人の建物の固定資産税を払っていた事実が発覚したりと、色々と苦労した記憶があります。処分できなかったとしても、建物の権利関係や固定資産税の支払い状況など、確認しておく必要があります。

・使わない備品・資料
事業をしていると資料や書類は自然とたまっていきます。これらも廃業時には人手と時間と予算をかけて処分をしないといけません。このコストが思いの外、かかります。また廃業時には従業員が片付けなどを手伝ってくれない事も想定されます。廃業時には全くときめかない片付けが待っています。いらないものは早めに処分しておいた方が後々楽になります。

・お付き合いでしている契約など
お客様との関係の中で、お付き合いで入っている契約や会費などはないでしょうか。普段であればどうという事のない金額でも、法的な手続きの破産や民事再生をすると、そうした相手先も「債権者」になってしまいます。事業を行っているなかで本当に必要な契約なのか、見極めが大切になってきます。

③書類を準備する

破産という法的な手続きをするのであれば、準備しないといけない書類が複数あります。代表的なものとしては

・借入先のリスト及び金額がわかる契約書
・債権者になる仕入先・買掛先リスト(名前 住所 電話 FAX 金額)
・決算書
・元帳
・定款
・通帳コピー
・会社概要
・就労規則
・従業員雇用契約書
・公租公課(税金の支払い)が分かる書類

などになります。「あの書類どこだっけ?」というタイプの社長は、あらかじめきちんと準備をしておく必要があります。破産手続き後には、書類を探してくれる従業員がいなくなる可能性も高いのです。

廃業には、事業をしているときとは別の労力が必要になってきます。破産をするのであれば通常は社長が代表清算人になります。従業員がどのタイミングでいなくなるか、想定できない事もあるので、出来る限り社長自身が知らないものがないようにしておく方が得策です。

こうして見るとまとめるべきものは以外と多いですね。

<このコラムの著者>
西澤佳男 プロフィール
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廃業ってどうするの? 中小企業ができる4つの廃業プラン

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