「人の道じゃなく、自分の道を生きなさい。」

これは数年前、私の娘たちが通う保育園の先生に言われた一言です。

誰かの後ろに隠れ、誰かに認めてもらえることに居場所をみつけ、
役割を生きることが自分を生きることだと思っていた私にとって、
この一言は衝撃でした。

「子どもにあれこれ望む前に、まずはあなたがそう生きなさい。
あなたが、この世界で自分を表現することを恥ずかしいと思うなら、
子供も、この世界で生きることを恥ずかしいと思って育ちます。
あなたが、自分には何もできないと諦めて生きるなら、
あなたが、失敗は怖いもので、だから何もしないと生きるなら
あなたの子供も、そう育ちます。」

「あなたの心の穴を、子供で埋めるんじゃないよ。
あなたは、あなたを生きなさい。」

初めて母親になり、毎日のほとんどの時間を
子供のために、家族のために、良い母親になろう、良い奥さんになろう、
そんなふうに生きていた当時の私には、
頭から水をかけられたような衝撃的な出会いでした。

この園との出会いから半年後。私は最初の起業をしました。

つまり、小さな子供がいる中で、自分を生きよう!と思い立ち、起業をしたのです。

当時の私は離婚をしたばかりで「ないないづくし」でした。(と思っていました。)

自分には何もない。安定した収入も、帰る家も、ふつうの幸せも何ひとつない。
だから何か、自分を形どるものが欲しい。

そんな不足感と焦燥感から始めた起業は、形としては大失敗に終わったのですが、
「自分を生きる」という点では、とても大きな一歩でした。

廃業したら、失敗したら、人の道を踏み外したら、
それは取り返しのつかないようなことでしょうか?
もう二度と立ち上がれないようなことでしょうか?

その答えは「NO」だと、私は自信を持って伝えたいです。

やってみたいことや、いつか叶えたい夢がある。
だけど、どうしたらいいか分からない。
自分らしく生きるには、どうしたらいいですか?
そう聞かれることがよくあります。

自分のやりたかったことをやってみる。自分の思う通りに生きてみる。
それは、起業するということに限らず、
「私はこれが好き。」「私はこれをやってみたい。」
それを構えず、力まず、そのままに
「好き」って言ってみる、「やる」って決めて動き出してみる。
それだけのことだったりします。

なのに、なぜだか”うまくできなきゃいけない”って気がしたり、
”ちゃんとやらなきゃいけない”って気がしてみたり。
そうしてるうちに、一歩も動けなくなってしまうのですよね。

でも、自分が生きたいように生きるのは、
そんなに悪いことじゃありません。そんなに怖いことじゃありません。

「自分らしく生きる」その選択肢の一つとして起業を選ぶなら、
誰でも、いつからでも踏み出すことができます。

取手は『誰もが起業できる街』です。
無料で受けられる起業の相談窓口があります。
失敗しても次に進める廃業の窓口もあります。
創業スクールやビジコンやチャレンジのハードルを下げた環境もあります。

もっとそのままに「あなた」を生きていい。
あなたが「いい!」って思ったら、「やりたい!」って思ったら、
いつからだって、誰だって、もっと自分を生きていいのです。

<このコラムの著者>
佐々木しづか プロフィール
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